夏の終わり、小さな旅に出ました。
伊達政宗公生誕450年にわく仙台へ。
仙台の夏の風物詩『七夕祭り』は終わっていましたが、名残りを惜しむようにあちこちで豪華な七夕飾りを見ることが出来ました。
建物の入り口を彩っていたり、ミニ飾りがインテリアになっていたり。
色とりどりの和紙の美しさとデザインの豊かさに感動。
伊達政宗公も推奨したという伝統のある七夕祭り。
東北の復興を願う短冊も多く添えられ、地元の方々が一体となり大切にしているお祭りなのだなあと感じました。
『杜の都』という愛称を持つ仙台。
そのシンボルともいえる政宗公の騎馬像を見上げるのは二度目になります。
城下を見渡すような表情の堂々とした銅像は、東日本大震災の際も目立った損傷はなかったそうです。
その変わらない姿に安堵し励まされた方も多かったのではないでしょうか。
梵天丸と呼ばれた幼い頃から、漢詩や和歌、能、茶道などの才能に優れ、文武両道であった政宗公。
豪胆な武将でありながら、『右筆』と呼ばれた部下の代筆に任せることなく、直筆での流麗な筆致の書状が1,000点以上も残っているそうです。
(於:みちのく伊達政宗歴史館)
息子の伊達兵部宗勝へもこんな手紙を送っています。
「…この返事、いかやうにも自筆で給わるべく候。てあがり申さず候とも、節々自筆にて書状もかき候ことは、よく候。とかく、かき候わねば、いよいよてあがらぬ物にて候。」
(この返事は是非自分で書いてよこしなさい。上手でなくても折々に自筆で書くのは良いことだ。書かないでいるとますます上手くならないものだからね。)
現代の私達にも通じる、父親としての温かい愛情を感じます。
そんな政宗公が愛用していた筆は、大阪から召し抱えられた御用筆師が担当し『仙台御筆』として継承されていましたが、現在その技を伝えられるのは大友博興さんという筆師さんただ一人とのこと。
その希少な筆を置くお店も市内に二軒だけときき、そのうちの一つ創業明治20年の『西川玉林堂』さんを訪ね、お話を伺うことが出来ました。
400年以上続いてきたという仙台の伝統の筆づくり。
その歴史を誇り高く、そして優しくわかりやすく話して下さりとても勉強になりました。
伊達家の菩提寺とされる国宝『瑞巌寺』のある松島へも足を延ばしました。
ここは海に面しているのに、松島湾の多くの島々が要塞となり周辺の寺院や宝物殿にはほとんど津波の被害がなかったそうです。
円通院(政宗公嫡孫光宗の菩提寺)では、ガイドさんから貴重な歴史や、震災の語り部としての心に響くお話を聴くことも出来ました。
伊達家の御殿湯であった秋保温泉郷では、『磊々峡(らいらいきょう)』という渓谷へ。
温泉郷の入り口に架かる覗橋(のぞきばし)を中心に1㎞に渡って伸びる峡谷には遊歩道があります。
雨上がりの道をゆっくりと歩きながら、巨大な岩やしぶきを上げる滝など、マイナスイオン溢れる渓谷美を堪能。
雨水が溜まっていないと見つかりにくいという、幸運のシンボルと言われるハート型のくぼみも見つけることが出来ました。
短い旅でしたが、そこここに伊達政宗公の息吹を感じ、悠久の歴史や文化、そして風光明媚な自然に出逢った素敵な夏の思い出になりました。
さあ、来週からレッスンが始まります。
夏休み明けの元気な生徒さん達に会えるのが楽しみです。
下高井戸にある書道教室