2021.01.30
1月30日 KOREMADEの高木厚人展 

午後から大粒の雪が降りしきった28日木曜日。

所属する書道会の名誉会長で日本を代表する仮名書の重鎮、高木厚人先生の『KOREMADEの高木厚人展』へ出掛けました。

 

 

 

 

緊急事態宣言発令中の今、書道展では定番の銀座や東京駅周辺ではなく世田谷にある美術館で開催されるという稀少な機会。

自転車や車で短時間で行けて密が避けられる区内で行われるとは願ってもないことです。

 

 

 

 

書道界のプリンスと称される厚人先生、28歳の頃からの約70点もの素晴らしい作品の数々。

長年にわたるご研鑽と世界観がギュッと凝縮されている最高に贅沢な展覧会でした。

 

 

 

 

この日の感動を言葉にするのが難しいのですが、とにかく書道に携わるかたは是非ご鑑賞をお勧めします。

撮影はOKをいただきましたが、ブログでは遠景にとどめ作品の写真掲載は控えました。

線の美は是非会場で味わっていただけたらと思います。

作品を拝見すればするほど伝わってくる息遣いやリズム、8年前に見学した杉岡華邨展を思い出しました。

2013年3月10日ブログ 春風に誘われて

 

と、ここ(1階の展示室)までは一般的な書道展の展示スタイル。

「会場は2階にもありますので向かいのエレベーターで上がって下さい。」

と、係のかたの言葉にいそいそと上がった2階には、驚嘆の空間が広がっていました。

 

 

 

 

まずは大邸宅の玄関のような空間に、書がインテリアアートとしてピタリと融合。

 

 

モダンな玄関

 

一旦立ち尽くしながらも進んでいくと、次のお部屋は温もりのある照明も素敵な洋室。

スタイリッシュな空間に、仮名書が絵のような感覚で溶け合っています。

 

 

書斎・隠れ家

 

大きな水槽のきれいな水の中には心癒やされる熱帯魚が泳ぎ、壁際にはシンクも。

 

 

熱帯魚の泳ぐ水槽

 

こんなお洒落な自分のお部屋が持てたらなあとうっとりしてしまいます。

 

 

ミニバー

 

2階の展示室は、日常の暮らしと書が呼応した魅力あふれるテーマパークのようでした。

次の間、次の間をとのぞくたびにどんな世界が広がるのだろうと膨らむ期待。

 

 

足下は風情のある石畳

 

木や障子窓、畳に床の間のある和室は、現代ではほとんど目にすることがなくなってしまいました。

しかし純和風の和室に書のある風景は日本文化の美しさを最大限に演出しています。

 

 

現代数寄屋建築

 

遠い記憶を呼び覚ますような囲炉裏のあるお部屋には、野菜や魚の名前がひらがなで書かれたユニークな書。

家族や仲間と集まり楽しく団らんしているようなイマジネーションをかきたてます。

 

 

囲炉裏の間

 

そして空間のあちこちに、古典に立脚した伝統香る書が、書道を超越したアートとして響き合っていました。

 

 

 

 

厚人先生はたくさんの作品をお持ちになって会場に何度も足を運ばれ、空間に合う書を提案されたとのことです。

 

 

 

 

2014年にオープンしたという『平成記念美術館』は、平成建設(平成元年創業)という建設会社の一角にあるギャラリー。

 

 

 

 

住宅空間と美術工芸品の関係に着目し、作家による美術展を定期的に開催されるほか、社内でも毎年、社員の方による美術展を開かれているとのこと。

絵画や陶芸など社員さんの様々な作品の展示コーナーもありました。

 

 

 

 

昨年は、60代の社員の棟梁のかたが日展に初出品され、なんと入選されたとのこと。

 

 

 

 

人の手で生み出された物だと思えないほど繊細な美しさに息をのみました。

 

 

 

 

昨年からものすごいスピードで変化する時代だからこそ、変わらずあるものの素晴らしさに心から感銘を受けた一日でした。

入館したときは曇り空でしたが、外に出ると本降りの雪。

極寒の帰り道でしたが、心の中はポカポカでした。

会期は2月27日までと長いので、これからまた2回、3回と足を運んで勉強させていただきたいと思っています。

 

【KOREMADEの高木厚人展 ヌーベル賞から大臣賞までの軌跡 from1985~2018】

会期 2021年1月14日(木)~2月27日(土) 10:00~18:00

場所 平成記念美術館 世田谷区桜3-25-4(03-3426-1103)

休館日 日曜日

観覧料 無料

 

TOP↑