お盆休みは一週間、帰省していました。
夕日のきれいな街。
私が生まれ育った山口県岩国市は、東に穏やかな瀬戸内海が広がり、反対側は濃い緑の山々に囲まれています。
そして市内を流れるのは山口県最大の河川、清流『錦川』。
海と山、そして川もと豊かな自然に恵まれた地域であることはよくブログに書くので、「素敵なところですね」とお褒めの言葉をいただくことも多く、誇らしく思っています。
帰省すると必ず訪れる、国の名勝『錦帯橋』とその界隈。
錦川に架かる錦帯橋のたもとには、『槍倒し松』という名の松の大木があります。
岩国の方言では、『倒す』ことを『こかす』と言うので『やりこかしまつ』と呼ばれています。
江戸時代、大名行列が他の城下を通る時には、先頭に立てている槍を倒して通るのが礼儀となっていましたが、岩国は六万石の小藩であったため守られていなかったそうです。
それに憤慨した武士たちが、枝を横に大きく伸ばした松を橋の頭に植えてどうしても槍を倒さなければ通れないようにしたもので、勝ち気な武士の心意気を表しているという逸話があるとか。
ウィットに富む岩国藩士の笑顔が目に浮かぶようです。
錦帯橋を背景に美しい錦川を舞台にして行われる『鵜飼い』は岩国の夏の風物詩。
主役である鵜の新しい飼育施設『吉香 鵜の里』がこの春オープンしました。
生き生きとした鵜の様子を間近で楽しく観察することが出来ます。
可愛い幼鳥が、鵜飼いが出来るようになるまで3年もかかるそうで、この鵜たちが活躍する幻想的な鵜飼いを久しぶりに見たくなりました。
お正月は初詣客で大賑わいの白山神社も、真夏のこの時期は蝉の大合唱が響くばかり。
城下町の西岩国地区には多くの歴史的建造物も点在しています。
瀟洒な佇まいの『岩国市徴古館』。
岩国藩主、吉川家の歴史資料や美術工芸品、錦帯橋の資料などが収蔵・展示されている美術館です。
岩国に住んでいた頃は、師であった故・古川奠雪先生の書もよく展示されて足を運んでいた場所。
この夏は、企画展『紙から見える江戸時代の岩国』が開催されるとのことで是非行きたいと思っていました。
(館内撮影可)
2014年に和紙と日本の手漉き和紙技術(島根県の石州半紙、岐阜県の本美濃紙、埼玉県の細川紙)がユネスコの世界無形文化遺産に登録されたのは皆さんご存知の事と思います。
書道用に日々手漉き和紙を愛用している者として、江戸時代の岩国藩財政を支えたという地元の貴重な和紙生産の歴史はいつか学べたらと思っていたので、念願が叶いました。
和紙にスポットを当てた展示会は今回が初めてだそうで、当時の生活や文化も身近に感じることが出来ました。
会期は9月3日(日)まで、入場は無料です。
残り少ない夏休み、是非大人の自由研究に訪ねてみられては如何でしょうか。
そして岩国の魅力の最後は海。
東京お台場にある『潮風公園』と同じ、なんともお洒落なネーミングの『潮風公園』。
ゆったりと走るバスは1時間に1本です。
今ではどの海水浴場もよく整備されていますが、私が子供の頃はただ白い砂浜が広がる浜辺で、よく家族や友達と遊びに来たものでした。
父の初盆だった今年の夏。
父を偲ぶ想いは深まり、故郷岩国の自然に澄んだエネルギーをもらって折り句が生まれました。
あの遠い日の思い出。
父が旅立ってからわかるありがたみは増すばかりです。
下高井戸にある書道教室