2015.03.01
3月1日 世界への架け橋 vol.6

日本の伝統衣装である着物。

戦後、普段着でなくなってしまったことから呉服市場もどんどん縮小していきました。

それでもフォーマルな衣装として1982年には2兆円あった着物業界の売上高も近年は2000億円ほどとされています。(出典:経済産業省「商業統計調査」・矢野経済研究所「呉服市場に関する調査結果」)

大正の頃は銀座で洋服を着ている女性がわずか1%だったものが、戦後は完全に逆転。

着物を普通に皆が着ていたのは、私達世代の曾祖母の時代まででしょうか。

価格の高さや着付けの大変さもあいまって遠い存在となりました。

そんな中、近年の浴衣ブームで昨年の夏も駅や電車の中など老若男女問わずたくさんの浴衣姿を見かけました。

インターネットの動画を利用して一人でも着付けが出来るようになり、 中学校の家庭科でも学習指導要領の改定で2012年度から浴衣の着付けなどの「和装教育」が必修化されて着物文化が見直されているのでしょう。

私が中学生だった頃は、男子は技術、女子は家庭科と教科が分かれていましたが現在では技術・家庭科共に男女共修になっています。

また、有名な欧州ブランド「ベネトン」や「アンテプリマ」などがファッション性の高い着物を制作。

人気の「H&M」や「ZARA」なども「Kimono」と名付けた着物風の洋服を販売。

日本から海外へ年齢層を問わず幅広く日本の伝統文化の魅力が広がっていく様子は、昨今の書道ブームにも通じるものを感じます。

先日は、都内の国立大学の国際学生宿舎で外国人留学生に振袖の着付け体験をしてもらう華やかなイベントが開催されました。

 

 

 

大学で日本語を教える非常勤講師の友人の呼びかけで集まった学生は13名。

フランス、ポーランド、ロシア、スウェーデン、ブルガリア、ウズベキスタン、ウクライナ、ベトナム、タイと国籍も様々です。

この大学に1年間の交換留学で来日している学生は、祖国でも成績トップクラスの優秀な学生達とのこと。

 

 

 

 

私は、記念写真用の書の提供とメイクのお手伝いで参加しました。

 

 

 

「着付け隊」と名付けられたこの活動には、着付けを始め立ち居振る舞い、ヘアセット、メイク、写真撮影などのために様々な業種の方が東京や近県から参加しています。

この日は群馬県から来られた方もお二人いらっしゃいました。

いつも楽しい関西弁で盛り上げて留学生をリラックスさせて、一生の記念になる美しい写真を残してくれるのは旅行コラムニスト・イラストエッセイストの森優子さん。

 

 

 

 

一人旅で世界50ヵ国以上を巡り難しい国際問題に対峙したお仕事を敢行、異文化や国によって異なる考え方の違いなどにも相手の立場に立って柔軟に対応することの出来る頼もしいメンバーです。

 

豪華な振袖をまといはしゃぐ留学生を見ていると、着物は日本の民独衣装であるということだけでなくその豪華さやデザインの優美さに憧れを持っているのではと感じます。

 

 

 

 

主宰者の友人の「アクティビティ・日本の文化理解」という留学生向けの授業を拝聴した際、現在の着物の原形は平安時代に生まれ江戸時代の頃にほぼ現代の形になったと教わりました。

 

 

 

 

前回のブログに記した江東区の「深川江戸資料館」でも江戸期の着物の柄について説明を受けました。

貧しい長屋暮らしの町民たちにとって高い着物は縁の遠いもので、裕福な層から流れてきた端切れを買い組み合わせて縫った着物を着ていたとのこと。

 

 

 

 

長屋の軒先には今でいうリサイクルショップが設けられ、当時流行の柄がよく売れたそうです。

紺地に白い鎖の連続模様のような柄は「吉原つなぎ」といって、遊郭に入ったらつながれてなかなか出られないことを表した柄。

 

 

 

 

そしてこちらは、江戸後期の人気歌舞伎役者、7代目市川團十郎が舞台衣装に用いた「かまわぬ」の柄。

 

 

 

 

鎌と輪の絵と、ひらがなの「ぬ」を表現しています。

「水火も厭わず(かまわず)、身を捨てて弱い者を助ける」という心意気を表しているということでした。

このように、 江戸時代に生まれた流行から日本の豊かな服飾文化が花開きました。

形を変えながらも現代に受け継がれ、世界から再発見されているのではないでしょうか。

さて、私がこの日のために書いた書は「花」。

 

 

 

 

俳句の世界で「花」という言葉が春の季語として用いられる時には「桜」を意味します。

 

 

(出典: .f pro.foto)

 

日本人にとりわけ愛されている桜。

写真では色がわかりづらいですが、菜の花をイメージした黄色を下部に散らし、淡墨で日本を象徴する「桜」を表現しました。

「書は文字が読めないからわからない」という声をよく耳にしますが、私は師から「絵のように見て楽しめるよう表現するように」と指導を受け、日々試行錯誤を重ねています。

この書は各国の学生が集うパブリックスぺースに飾って頂けることになり、皆さんに大きな歓声で喜んで頂けました。

 

 

 

 

日本で学び、日本人の心を理解し世界へ羽ばたいていく若い留学生の皆さん。

この日の輝くばかりに美しい着物姿を忘れずに、人生の出発にあたって大きな花を咲かせることが出来ますようにと願ってやみません。

 

 

 

 

これまでの活動の様子はコチラ↓

2013年度

3月1日  世界への架け橋

5月20日 世界への架け橋vol.2

12月10日 世界への架け橋vol.3

 

2014年度

4月10日 世界への架け橋vol.4

12月10日 世界への架け橋vol.5

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