2014.04.20
4月20日 書道でできること

 

桜の季節が終わり新緑も眩しい日の午後、杉並区のデイサービス(高齢者のための通所介護施設)で書道のレッスンを行いました。

こちらへご訪問を始めて2年になりますが、人生の大先輩の皆さまや、明るいスタッフの方々と一緒にとても楽しい時間を共有しています。

 

 

 

 

この日は、春にまつわる言葉のお手本を12種類、それぞれ2枚ずつ準備しました。 

参加者10名は全員が女性で、「筆を持つのは何十年ぶりかしら」と華やかです。

 

 

 

 

 

心を静め、呼吸を整えてゆっくりと墨を磨り、気持ちを落ち着けてから筆を執っていただきます。

墨には、白檀(サンダルウッド)、竜脳(ショウノウ)、麝香(ムスク)などの香料が練りこまれており、磨っているうちに爽快感のある香りが広がって安らぎをもたらし、集中力を高める効果があります。

まず始めに筆の持ち方をレクチャーし、準備運動で筆づかいの基礎練習から。

 

 

 

 

指先にはたくさんの末梢神経があるため、やわらかい毛を集めて作った筆をコントロールする書道は脳に大きな刺激を与えるといわれています。 

思うように腕を動かせない方、書道展に出品されていた腕前の方、レベルは様々ですが皆さん真剣に。

 

 

 

 

書く前に深呼吸をしたり、文字を書く途中で筆を止めるところでは息を止め、はねるところや払うところでは息を吐いたりしているので無意識のうちに腹式呼吸をしており、心肺機能を高めることにも繋がっています。

 

 

 

 

 

基礎練習の後は、美しい日本の四季を目で見て身体で書いて感じてもらえたらと、毎回季節に合わせた題材を数種類ご用意して作品に仕上げていただいています。

字が上手くなるためだけの練習ではなく、その言葉の持つ意味や姿形から想起されるもので会話が生まれ、書に取り組む意欲や生きる喜びが高められたらという願いがあります。

お手本を選ぶ時間も、精神の高揚と緊張感を感じていただく活力の芽生える時間でもあると言えます。

この日も、ご自身やご家族の方のお名前の字のお手本を見つけて気合いが入った方や、字の難易度を何度も尋ねられてお手本選びに難航した方など、飛びかう会話でコミュニケーションが深まりました。

 

 

 

 

 練習中に一緒に筆を持って書くことは、筆の力の入れ具合の理解や字形の把握にダイレクトに届く指導法ですが、何よりとても喜んでいただけるので一回でも多く手を取ることが出来るよう心掛けています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

毎回同行して顔なじみの書道仲間2名とデイサービスのスタッフの方3名の細やかな気配りのもとで、皆さんリラックスして和やかなひとときが流れます。

 

 

 

 

 

優しい所長さんはいつも大きな声で一人一人に声を掛け、ユーモアで周囲を盛り上げて笑顔の中心にいらっしゃいます。

 

 

 

 

最後に、春色のきれいな色彩の半紙に清書をし、落款。

素敵な作品をご家族の待つおうちに飾って頂いたり、大切な方へプレゼントして差し上げて下さいとお話しし、「愛」という文字の遊印を押印しました。

 

 

 

 

 

『夢』と、端正な楷書で紙面一杯に豪快に書かれたK恵さんは、ご主人様が趣味で篆刻をされているそうで、ご自身の印をお持ちとのこと。 

「家で主人の彫った印を押します!」と、嬉しそうに話して下さいました。

 

 

 

 

 

書道によってご家族との会話が弾むのは、講師冥利に尽きる本当にありがたいことです。

長い人生経験がにじみ出た味わい深い作品が仕上がりました。

 

 

 

 

 

これからも筆を持つことで心身を生き生きとさせ、皆さんが健康で楽しい生活を送れますように、書道でできることを追求していきたいと思っています。

 

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