2018.05.20
5月20日 新世界への扉をひらく

「写真で見て頭に焼きついて離れないのでどうしても欲しい」

との身に余るお言葉をいただき、先月に引き続いて『戌年』の作品が旅立ちました。

 

 

 

 

今回も額と表装は三鷹の『山口文林堂』山口悦弘社長に依頼、純和風の「木製隅丸書道額」は落ち着いたオーク色、マットは光沢のあるベージュで格調高く仕上げていただきました。

確かな技術と卓越したセンスに全幅の信頼を寄せている山口さんは、「文房四宝」(筆・紙・墨・硯)から新しい現代アートまで語らえる頼もしい同志。

 

 

 

 

『戌年』の書は、言葉を生み出すところから自作自演した思い入れのある作品だったので、手元から離れるのは感慨深い気持ちにもなります。

表面のアクリルをピカピカに拭き上げ、丁寧に梱包してそっと箱のふたを閉じました。

 

 

 

 

私の書で何かを感じてもらえて、大切に飾っていただけるのは本当に嬉しいこと。

手にされた、故郷山口県岩国のHさんより、「残り少ない人生だけれど、毎日眺めて暮らします。」と弾んだ声でお電話をいただき、胸がいっぱいになりました。

 

「折り句」の指導を仰いでいるのは、同郷の折り句作家MIKAKOさん。

今週も、個性豊かな折り句講師の集まる勉強会で、日々の心の持ち方から制作の過程を記した貴重な手書きノートまで公開して渾身のレッスンをしてくださいました。

 

 

 

 

「折り句」を学んだ翌日は、銀座の老舗書店『教文館』で開催中の『アトリエルピナス展』へ。

 

 

 

 

ご案内下さったのは、一昨年の書道展にもモダンな和服でご来場いただいた華道家のH先生(写真右)。

 

 

 

 

広島市内へ草月流の指導に定期的に出張されていて、私の学生時代からの友人が長年お世話になっている素敵な先生です。

先生はテレビでおなじみの假屋崎省吾さんとも厚い信頼関係を築いておられ、深遠な華道界のお話もたくさん拝聴しました。

 

 

 

 

さて、『ルピナス展』。

見ているだけで優しい気持ちになるような、小菅昌子さんのパステルの世界が広がっていました。

 

 

 

 

ドイツ発祥という、夢のあるパステル画。

赤、青、黄の三原色たった6本のスティック状のパステルを、ちぎった綿や綿棒でこすって、紙にふわふわと色を重ねるだけでなんとも美しい作品が現れる魔法のような絵画法です。

ご一緒した方々4名で描き方を習い、「風に乗って飛んでいるようにフワッと」とか、「青い森林の上に黄色を載せて光を当てましょう」など、想像力をかきたてるような誘導に沿って心癒される体験をさせていただきました。

 

 

 

 

小菅さんの『時を描く線』というご著書では、まっすぐな一本の線を引くにも「かすかにゆれる」「だんだん波が大きくなる」「かぜがなみをうつ」「よせてかえす」など具体的な表現でイメージを広げておられ、感銘を受けました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

線の芸術である書道にも大きな繋がりを感じ、非常に勉強になりました。

 

 

 

 

素晴らしい人と出逢う度に、自分の心が磨かれるような気持ちになります。

良き出逢いの水脈が一つに繋がり、私らしい新しい流れを生みだしていけたらと思います。

そんな想いが『戌年』の折り句に集約されたのかもしれません。

 

い きの合う仲間と いくつもの色を

ぬ り重ね 一つの美を創るために

ど こにも負けない絆を信じて

し ん世界への扉をひらく

 

 

 

 

『アトリエルピナス展』は、5月23日(水)まで、小菅さんは毎日在廊されるとのこと。

お近くに行かれるようでしたら是非、清らかなパステル画の世界を体感されてみてはいかがでしょうか。

 

TOP↑