2019.03.20
3月20日 南の島へ vol.2

今日20日の東京は今年一番の暖かさで、桜の開花宣言も今日か明日かと話題になるこの頃です。

年が明けたと思ったらもう年度末、終業式に卒業式、桜前線も迫り来て春のお彼岸と、またあっという間に過ぎ去るのでしょうか。

 

 

 

 

書道教室には、生徒さんが美しいお着物姿でいらして下さいました。

春を身に纏ったような佇まいに、季節を大切に春の訪れを楽しむ余裕を持って過ごしたいなあと穏やかな気持ちになりました。

小筆の日常の書も着物のパワーで見事に仕上げられ、桜まつりでの展示が楽しみです。

 

さて、まだ肌寒さが残る3月半ば、六本木の国立新美術館へ。

 

 

 

 

黒川紀章氏デザイン・設計の、優雅に波打ったガラス張りの外観はいつ見ても圧巻です。

 

 

 

 

内部も無機質な色味の中に曲線が生きていて、近未来の世界に迷い込んだよう。

 

 

 

 

この日は、公私共に仲良くさせていただいている書友のI先生と「創立70周年記念 第55回 創玄展」を見学しました。

 

 

 

 

広い会場に足を踏み入れると、創玄の先生による作品解説も大盛況、言葉が生を得てうねりエネルギーを放つ大作の数々。

故郷岩国で古川奠雪先生のもと、たくさんの先輩方と近代詩文書に励んでいた若き日々に再会したような気持ちになりました。

 

 

 

 

漢字や仮名が主の書道ですが、誰もが親しみやすい近代詩文書という分野に導いて下さった古川先生。

その教えをこれからも皆さんに伝え、楽しんでいただきたいと意を新たに致しました。

また、書道用具でいつもお世話になっている三鷹の山口文林堂さんからいただいたチケットで、創始者金子鷗亭先生の素敵な一筆箋が当たるという幸運も。

 

 

 

 

お誘いいただいたI先生、山口社長、本当にありがとうございました。

 

さて、ブログのタイトルとかけ離れた前置きが長くなってしまいました。

本題の、先日のグアム旅行で一番心に残った太平洋戦争の戦跡について書いておきたいと思います。

もう暫くお付き合い下さい。

グアムの観光の中心、タモン地区から車で約1時間ほど走り、ロープウェイや吊り橋を渡りジャングルの奥地へ。

 

 

 

 

グアム最大級のタロフォフォの滝のある公園の中に、元日本兵の横井庄一さんが終戦後28年間潜伏生活を送っていた「横井ケーブ」のレプリカがあります。

こちらは洞穴へ降りていく入り口。

 

 

 

 

崩落を防ぐためか、壁面は竹でしっかりと覆われています。

中にはかまどや井戸、水洗トイレもあり、はた織り機も作って木の皮からお手製の洋服まで作っておられたそうです。

 

 

 

 

暑さと湿気のまとわりつくような空気に草木に覆われた現場。

このジャングルの中で一人きりで隠れながら、一日一日を生きていかなくてはならない。

その現実に触れて身のすくむ思いでした。

 

 

 

 

現在は、横井さんのお名前を冠したお土産物屋さんもあるのんびりした雰囲気で、なんだか不思議な感覚に。

 

また、ガイドさんに数多くの名所を案内していただきましたが、特に記憶に刻まれたのは「太平洋戦争国立歴史博物館」と「太平洋戦争国立歴史公園(ガアン・ポイント・ビーチパーク)」の見学。

博物館の正面には、旧日本軍の特殊潜航艇。

 

 

 

 

驚くほど巨大ですが「日本軍の二人乗りの潜水艦」と書いてあり、当時の蛇行している写真にも胸を打たれました。

 

 

 

 

海沿いでのどかなガアン・ポイント・ビーチパークは、上陸してきたアメリカ軍と激戦が繰り広げられた場所です。

 

 

 

 

海に向かって作られた旧日本軍のトーチカ。

 

 

 

 

日本から遠い遠いこの地で、若者達は何を想い何を見て何を語っていたのでしょうか。

近づいてみると入り口に「高木隊 第二分隊 13名」と力強い字で彫られていました。

 

 

 

 

玉砕された分隊のどなたかが刻まれたものでしょう。

明るい日差しの中、黄色や黒の蝶がくるくると舞い降りてきて英霊が迎えてくれたかのよう。

ゴツゴツした文字を指でなぞると涙が出ました。

 

 

 

 

夕景の美しい平和そのもののグアム。

これからもたくさんの犠牲を忘れず、過去の歴史について学び体験し、何事もない平和な毎日を繋いで行きたいです。

 

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