2018.08.20
8月20日 八月の空へ

お盆を過ぎて急に涼しくなりましたね。

昼間は蝉の合唱、夜は秋の虫が鳴いています。

8月は原爆忌があり、終戦の日があり、旧盆があり、世代を超えた縦の繋がりに想いが巡ります。

お盆休みで、普段会えないご家族や懐かしいお友達と集まられた方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

私も一昨年父が旅立ったのを機に更に、命や平和の大切さを深く心に感じる月になりました。

 

 

(潮風公園海水浴場 山口県岩国市由宇町)

 

7月豪雨で被害を受けた故郷岩国。

帰省した8月半ばにはだいぶ復旧が進んでいました。

市内を瀬戸内海に沿って南下すると、大小の島々を背景にした美しいビーチが点在しています。

人影のない海岸に、忘れ物と思われる可愛いスイカのビーチボールがコロコロ。

 

 

 

 

夏の終わりの切なさに色を添えているようでした。

この度の帰省では、いつも眺めるだけだった錦帯橋を久しぶりに渡ってみました。

 

 

 

 

幼い頃から家族や親せきや友人、いろんな人と何度も渡った岩国のシンボル錦帯橋。

今年七回忌を迎える叔母が、橋のたもとの料金所で元気に働いていた時期もありました。

なだらかな木の階段は、歩く度、コンコンという小気味良い音と振動。

 

 

 

 

懐かしさと共に、橋に浸透した人々の想いが靴底から伝わって来るようでした。

見渡すと、清流と呼ばれる錦川の透き通った川面。

 

 

 

 

このように普段は穏やかな錦川ですが、大雨や台風時には姿を一変してしまいます。

江戸時代1673年(延宝元年)に最初の橋が架けられてから、何代にも渡って忠実に再現されてきた大切な橋。

流失することのないよう施された緻密な構造は枚挙にいとまがありませんが、その一つはこちら。

 

 

 

 

私も最近知ったのですが、橋台は水の流れに対して船の舳先のように尖り、濁流の勢いを逃がすよう造られているとのこと、初めて真上から見ることが出来ました。

 

 

 

 

遠目には時代劇の世界から出てきたような優美な木組みの橋ですが、縁の下には強固な石が身を尖らせて守っているように思え、感動でした。

こうして帰省の際は必ず立ち寄る大好きな錦帯橋周辺ですが、里帰りには、父が山のように残した本を処分するという心の痛む仕事も待っています。

 

 

 

 

ページをめくると、日付やコメントが書いてあったりメモが挟まれていたり、つい手を止めて見入ってしまいます。

 

 

 

 

家が片付くにつれ少しずつ父のいた形跡が消えて行き気持ちが追いつきませんが、如何ともし難いことなのでしょう。

お仏壇の引き出しにある過去帳にも、新しいページが加わりました。

 

 

 

 

錦帯橋が創建されたのと同じ時代に生きたご先祖様は、新しい橋の完成を見ていたのでしょうか。

いつも空から見守ってくれている先人達がいて、今の私達の幸せがあります。

そんな今だから、大切に未来へ繋げていかねばと思っています。

お盆の間、見事なペルセウス座流星群が夏の夜空を彩りましたね。

皆さんの地域ではご覧になれましたか。

流れ星に亡き人を偲び、錦帯橋の便箋に折り句を。

 

 

 

  

  な まえを呼ぶ声

  が んばれと励ます声

な れ 親しんだ声はいつまでも

 ぼ えてるから

  し ずかに耳を澄ます 故郷のお盆

 

『八月の空へ』は、次回へ続きます。

 

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