2019.04.30
4月30日 時代と共に 

GW真っ只中、皆さんいかがお過ごしでしょうか。

4月からの新生活の慌ただしさも落ち着き、お疲れも出る頃なのではと思います。

またなんと言っても本日4月30日で平成が終わるという大きな節目。

何だかしみじみとしてしまいますが、連休にリフレッシュして新しい時代のスタートが切れるといいですね。

 

さて、4月半ばのことになりますが横浜書道学校の『書陵展』を見学に川崎へ。

 

 

 

 

横浜書道学校で教鞭を取っておられる翠邦先生は、故郷岩国で小学生の時に同じ書道教室に通っていました。

その後、全く別々の場所で別々に書道の道を歩み、昨年の春に予期せぬ再会。

2018/4/20 春のめぐり逢い

 

 

 

 

それからというもの、長年の書道仲間のように仲良くさせていただいています。

今回の社中展も、古典と真剣に向き合った格調高い書や新しいアートとの融合を模索された書など多彩。

先生もたくさんのお弟子さんに囲まれ、私も共に解説を受けながら楽しい学びのひとときを過ごさせていただきました。

 

 

 

 

翠邦先生の作品は、夏の夜明けの情景が広がる艶やかな仮名と、魂の叫びのようにうねる『蝶』。

 

 

 

 

『蝶』の深みのあるにじみの中にくっきりと浮かんだ線の輪郭。

えも言われぬ美しさでした。

 

 

 

 

この気品ある線を出すのは非常に難しいそうで、紙も薄口で柔らかく良く墨を吸うものと合わせるなど神経の行き届いた準備が大切になります。

墨は中国の古墨「黄山松煙」をひたすら摩って、何日間か置いたものを使用されたそうです。

 

 

 

 

長年、教育書道に携わられた先生の、伝統を踏襲する中にも今日的な感覚がにじむ作品に熱意があふれていました。

会場にはお母様とお嬢様の伸びやかな作品も。

 

 

 

 

翠邦先生と私を結んで下さったのは、故古川奠雪先生。

私達が通っていた頃の昭和の書道教室は、生徒30名前後が賑やかに座卓で習い、添削を受けるに長蛇の列という活気あるものでした。

明治、大正、昭和、平成と生き抜きご活躍された古川先生。

平成の最後に、平成元年三月に刊行された喜寿(77歳)お祝いの作品集を開いてみました。

 

 

 

 

目に飛び込んできたのは4歳の時からお世話になった懐かしいお顔。

 

 

(出典:´89喜寿・古希記念 代表作家作品集  修美社)

 

先生の圧倒的な近代詩文書に改めて感銘を受け「時代と共に」という寄稿文に胸が熱くなりました。

 

『・・・最近、身に老化現象を覚えるが、同時に作品にも同じ感じがして淋しい限りである。・・・之は自分の大敵だと思う。・・・現代感覚を巧みに捕らえて地域的にも個性的にも素晴らしい作品が年毎に変化進展する有様は、私の心を揺さぶらし、実に反省させられる。新しさばかりが良いわけではないが、人の心を打つ新鮮さが欲しい。時代と共に生きたいものだ。』

 

先生に一から習い支えてもらって今日の私達があり、一生ものの宝をいただきました。

ありし日を思い、感謝と新しい時代に向かう気持ちを穂先に込めて。

 

 

 

 

「令和」の典拠もここに記しておきたいと思います。

初春令月、気淑風和、梅披鏡前之粉、蘭薫珮後之香 (万葉集 梅花の歌より)

(初春の令月にして、気淑く風和ぎ、梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後の香を薫らす)

 

梅の枝は淡墨、花は紅白で祝意を表し顔彩で一輪一輪を込めて描きました。

 

 

 

 

古川先生のご恩を胸に、これからも書道を通じてたくさんの方々に笑顔の花を咲かせて新しい時代を駆け抜けていきたいと思います。

 

TOP↑