私の故郷山口県岩国市にある、国の名勝『錦帯橋』。
長崎県の『眼鏡橋』、東京の『日本橋』とともに日本三名橋の一つです。
橋を渡った先の山側に広がる吉香公園と合わせて桜の名所としても有名で、『日本さくら名所100選』にも選定されています。
桜以外にも梅やツツジや牡丹、藤、花菖蒲、秋の紅葉など四季を彩る景色がそれはそれは美しく、帰省すると必ず訪れる場所です。
この公園内に今年4月にオープンしたばかりの古民家ギャラリー「いろや」さん。
真夏のまぶしい日差しに木々の濃い緑と落ち着いた白壁が映える公園の中心部に位置しています。
こちらで8月1日より開催中の岩見屋錦舟先生の書作展を見学。
けやきの一枚板に艶のある彫り文字が浮き上がる素晴らしい看板が迎えてくれました。
私が岩国で書を学んでいるころからお世話になり長くお付き合いいただいている、山口県を代表する書家の岩見屋先生。
”一輪挿しにそっと野の花を生ける”ように、日々の暮らしの中に書があることで”心の潤いや豊さ”につながれば…という先生の想いがテーマの書展です。
池袋の東京芸術劇場の本展を柱に、日本各地や、韓国でも開催されている『インテリアの書展』というインテリア書の公募展にも招待作家として毎年のように出品されている先生。
私もそのアート感覚に満ちた作品を何度も拝見して勉強させていただいています。
書道の作品を一般の公募展に出品するのはとても大きいサイズになるため、人の目に触れるのはほんの僅かな時間。
展覧会が終わった後は、額からはがされて筒におさめられ眠ってしまいます。
そんな書に永遠の命を与え、飾って長く楽しめるように工夫が凝らされた40点もの作品が展示されていました。
中学・高校の書道教諭として学校教育にも長く携わられた先生。
いろやさんの素敵な女性オーナー、大久保可織さんも教え子の一人だそうで、会期中も大勢の教え子の方々が足を運ばれているとのこと。
先生の人気がうかがえます。
NHKの大河ドラマ「花燃ゆ」で、吉田松陰から高杉晋作へ熱く問いかけて感動を呼んだ『志』は爽やかな掛け軸に。
隷書の『志』は「一画強調」(全体の中で一画だけ強調するとメリハリのきいた印象深い文字になること)され、内に力を秘めた線できりっと引き締まった文面に、美しい余白にも目が引きつけられました。
日本初の白熱電球の製造に成功、近代日本の電気事業を支え「日本のエジソン」と称された岩国市出身の藤岡市助の言葉はたっぷりの墨で悠々と。
書というと、白と黒のモノトーンの世界というイメージですね。
しかし、カラフルな顔彩で彩色された作品はユーモアにあふれ、見る人も笑顔になりそうです。
山口県の萩焼作家で岩国に「久杉窯」を構える近藤守さんと共作されたという風情ある酒杯や、温かみのある陶額の数々。
人の心に響く言葉を読みやすく、そして書く素材や表具、デザインにも心を配り展開された、まさに暮らしに彩りをもたらす様々な書。
先生のバイタリティに感服し、二日間に渡り訪れてお話を伺いながらその世界に浸りました。
猛暑のやわらいだ今日この頃、お近くの方は是非足を運ばれては如何でしょうか。
『岩見屋錦舟書作展~暮らしの中に書を!~』
会期は8月15日(土)まで。
午前11時~午後5時。入場無料。
作家来場:8月15日(土)午後。
いろやギャラリー(山口県岩国市横山2-4-17 ℡0827-43-6081)
帰りの飛行機では雲の谷間から富士山がくっきりと見え大きな活力を。
今週末も広島へ飛ぶ予定です。
4つの橋を渡り、瀬戸内海に浮かぶ『大崎下島』へ。
初めて訪れる島ではどんな風景が広がっているでしょうか。楽しみです。
その様子はまた後日ブログで。
下高井戸にある書道教室