九州や中国地方で大雨が続いていますね。
何が起こるかわからないため大変ご不安なことと思います。
少しでも被害が少なく済むことをお祈りします。
山口の母を案じたメールも何通かいただきました、感謝致します。
東京も今日は35℃を越える厳しい暑さになるとのこと、水分補給や空調など熱中症対策を万全になさって下さい。
さて、気付くと2023年も半分過ぎてあっという間に後半戦。
昨日はベランダで朝顔の一番花が咲いているのを見つけました。
こちらはパーリーゲイツ(Pearly Gates)という品種だそうで、『真珠の門』という高貴な名前がピッタリですね。
これから次々に咲いて楽しませてくれることでしょう。
近所のイチジクの実も膨らんでいます
今年も11月に深川江戸資料館で劇団『座☆吉祥天女』さんの人情時代劇公演が開催されます。
2019年より題字と挿絵を担当させていただいて早5年目。
毎年ご依頼いただきとても光栄に思っています。
思い出深い初参加作品(2019年)
今年の演目は時代小説の巨匠、山本周五郎の名作『むかしも今も』。
1903年6月生まれの周五郎は今年生誕120年だそうで記念のイベントも多く盛り上がっているようです。
春頃から、小説や台本を読み込みました。
すっかり周五郎ファンです
そして幸運なことに、最終段階の仕上げの前に主宰の井口貴子さんが客演された周五郎作品を観劇することが出来ました。
会場は新宿伊勢丹会館の中にある劇場型のスパニッシュレストラン。
TABLAO FLAMENCO GARLOCHI(ガルロチ)
『タブラオ』とは、スペイン語で板張りの舞台のあるバルやレストランという意味だそうです。
ヨーロッパ調の重厚な空間は異国情緒満点。
そこにラテンギターの生演奏と日本人の心に響く時代劇が絶妙に溶け込んで非日常を味わわせていただきました。
お芝居は『ひとごろし』という物騒なタイトルですが愉快な喜劇。
ストーリーは、臆病者と名高い若侍が汚名返上のため上意討ちを決意、突拍子もない方法で剣豪を屈服させてしまうという勧善懲悪ものでした。
手に汗握る果たし合いのシーンやユーモアのあふれる中にも周五郎らしい優しい視点のラスト。
役者の皆さんの迫真の演技にも息をのみました。
中央が井口さん(出典:座☆吉祥天女HP)
こうして『むかしも今も』の挿絵は江戸時代の空気感を全身に浴びた直後に筆を執ることが出来ました。
この物語も江戸の下町が舞台で、貧しく厳しい世に生きる人々が純愛を貫く物語。
本を読んで、主人公の直吉とまきが幼少時代に遊んだ「汐留堀」の草むらが幸せの象徴であったように心に残りました。
挿絵はそのイメージを描写。
野の花といえばシロツメクサを思い起こします。
桜上水むつみ会館周辺
いつもの散歩道に広がる柔らかなクローバーと白く丸い花を見ると懐かしい気持ちになるのは私だけでしょうか。
可憐なサクラソウも江戸時代の河畔にたくさん咲いていたそうで彩りに添えさせていただきました。
むつみ会館通り
奇しくも、シロツメクサの花言葉は「私を想って下さい」、サクラソウの花言葉は「少年時代の希望」。
まさに直吉とまきの心情を表しているようで、なんだか導かれたような神妙な気持ちになりました。
Webデザイナーさんの手を経て完成しましたらこちらでご紹介します。
絵は門外漢の私。
描くときは亡き父手作りのパレットを取り出し力をもらいます。
陶芸教室でいくつも造ってくれました
魂を込めた作業が終わり、ふと手に取ったパレット。
指跡の残るやわらかくぬくもりのある表面、その端っこに愛らしいお花があしらわれているのが胸に沁みました。
ありがとう、お父さん。
下高井戸にある書道教室