からころも 着つつなれにし つましあれば はるばる来ぬる 旅をしぞ思ふ (伊勢物語より)
平安時代の歌人、在原業平が新緑に映える美しい水辺の花に故郷を懐かしみ「かきつばた」と折り込んだ歌です。
《訳…唐風の着物は着続けていると柔らかくなり身に馴染む。そんな着物のように親しみ離れがたい妻は都に住んでいる。今、都を遥か遠く離れて来てしまって旅路のわびしさ、やるせなさを思う》
松尾芭蕉や紀貫之も折り句を書き残しており、古来からある日本の言葉遊びの折り句。
こうした、普段言えない感謝の言葉や故郷を想う気持ちなどを折り句にして伝えようという『全国折り句コンテスト』が発足して7年目になります。
7月1日から始まる募集を前に彩り豊かなチラシも届きました。
全面リニューアルして華やか
教室の子ども達も第1回から参加し、年に一度の折り句制作を熱心に取り組んでいます。
回数を重ねることで、気持ちを素直に表して、優しい前向きな言葉で表現することが容易に出来るようになってきたなあとしみじみ感じます。
贈り物にする折り句をきれいな字で書きたいという意欲が書写力のジャンプアップにも連動。
たくさんのご応募お待ちしています
ネット社会の現在「自分の手で書いた言葉を人に贈る」ということ自体がなかなかの難関ですね。
2019年度の東洋大学『現代学生百人一首』の入選作で今でも忘れられないこんな歌があります。
伝えたい 言葉はいつもスタンプで どこかに消えた私の言葉 (高1 功刀菜柚)
ケータイを もつまえ交わした文通の あなたの書いた字愛しく思う (高1 森川千咲)
年代を問わず、生きた言葉や手書きの字への切ない思いが伝わってきます。
「書は体を表す」という言葉がありますが、日本人は手書きの字を大切に思い、字からその人の面影まで思い起こすものですね。
今年3月からスタート
オンラインで気軽に折り句を学べる「折り句クラブ」も始まりました。
毎月第三金曜日20時から60分間、和気あいあいと折り句を語る楽しいひとときです。
こうした取り組みを通じてたくさんのかたが折り句に触れていただけるといいなあと思います。
チラシが欲しい方や置いていただけるお店などありましたらお送りしますのでどうぞよろしくお願い致します。
何かわからないことがありましたら遠慮なくご連絡下さい。
私も先日、会社員時代にお世話になった上司が70歳まで現役で勤め上げられた節目と伺い、折り句を書きました。
今年のトレンドカラーはグリーンとのこと、ひたすら優しくダンディでいらしたイメージに合う色紙に心を込めて。
お目にかかってお渡しすることは出来ませんでしたが、今朝「昨晩は、心温まるお土産を頂戴し、適当な言葉が見つかりません。…」とメールをいただき涙。
こちらこそ折り句で気持ちを伝えることが出来て本当に幸せです。
また、来月はコンテストを牽引する同郷の折り句作家MIKAKOさんの個展も会期に。
ポエムピクチャーと呼ばれる心に響く書画
場所は新宿副都心の先駆者である京王プラザホテル。
1971年6月5日開業
昨年50周年を迎えた歴史の深い超高層ホテルです。
格調高いロビー階
コロナが長引いている今、壁面のこんなオブジェを見るだけでもテンションが上がります。
デジタル世界時計
展示会場は本館3階に位置する落ち着いたロビーギャラリー。
私も近代詩文書の書作品と折り句の2点、出展させていただきます。
7月23日(土)・24(日)は会場におります。
お時間が合いましたら是非ご来場下さい。
下高井戸にある書道教室