『 毎日〇〇〇 過ごせますように 』
あなたは毎日どんな風に過ごしたいですか?
〇〇〇の部分に好きな言葉を入れてみましょう。
杉並区のデイサービス(居宅介護支援事業所)の出張レッスンは、紫陽花も色鮮やかな梅雨晴れの日でした。
こちらへは、2012年6月に初めてご訪問してから今月でちょうど丸3年になります。
七夕にはまだ少し早かったのですが、9名の生徒さんに短冊に思い思いの願い事を書いていただきました。
レッスンの最初はゆっくりと呼吸をして心を静め、気分を落ち着けて墨を磨ります。
リラックスアロマの効果がある墨の香りが立ち上ってきます。
そして小筆の持ち方をレクチャーし、まずは腕慣らしでひらがなの基本的な筆使いのお手本の練習。
皆さん慣れない小筆の取り扱いに一生懸命で、「難しいわ~」「筆を持ったのは何年ぶりかしら」と、賑やかな声が飛びかいます。
第二の脳と呼ばれる指先にはたくさんの末梢神経が集まり、毛筆をコントロールすることは脳への大きな刺激にもなっています。
穂先に集中することで深い開放感も。
デイサービスの所長さんとスタッフさん3名、書道師範の友人の横山裕子さんと私の6名で協力して雰囲気を盛り上げて、生き生きとした書字活動の場を創っていきます。
小さい頃から慣れ親しんだ書道は強い力を必要とすることが少ないので年齢を重ねても楽しむことが出来、知らず知らずのうちに身体機能を健康に導くことが出来る効果の高いものです。
基礎練習が終わった方から本番に。
願い事に何を書くかを毎年皆さんとても悩まれるので、今年は『 毎日〇〇〇 過ごせますように 』のお手本と、〇〇〇の中に入れていただく言葉の例文のお手本もご用意しました。
このお手本で書かれても、ご自身で書きたい言葉を書かれても自由です。
いつも紙面一杯に豪快な字を書かれるMさん。
自宅でのお散歩は安全のために旦那さまと手を繋いで歩いていらっしゃるとのこと。
書かれた願い事は『 毎日元気に過ごせますように 』でした。
筆に墨をたっぷりと含ませ、「毎日元気に」と力強く何度も書かれ、筆勢のある書きぶりに意欲が伝わります。
手を動かすことや、考えることが難しい方は手を取って一緒に。
優しいIさんは所長さんのアドバイスで『 毎日わらってすごせますように 』と、出来上がった短冊を見てにっこり笑顔で喜んでいただけました。
字の上手いNさんは穏やかな紳士で、いつも時間ぎりぎりまで粘って熱心に練習されます。
ご自身が納得するまで書きたいという思いや、周囲の方に良い作品を見てもらいたいといった意識が精神の高揚と緊張感を取り戻すことに繋がり、お人柄が書にも表れます。
Nさんは、『 明るく 笑って 』と品格のある達筆でしたためられました。
心を動かし、手を動かして、楽しいおしゃべりや笑いも交えながらあっという間に時間が過ぎて、個性あふれる作品が書きあがりました。
高度成長期に働き盛りで日本の経済を支え、家庭もしっかりと築いてこられた高齢者の方々。
こうして穏やかな書の時間をご一緒出来ますこと、心からありがたく思います。
どうか皆さんの願いが叶いますように。
下高井戸にある書道教室