JR原宿駅から徒歩数分でありながら、1万坪の自然豊かな敷地に心地よい風が吹き抜ける東郷神社。
桜満開の佳き日、友人の結婚式に参列致しました。
明治時代の元帥海軍大将東郷平八郎を、勝利と強運の神様としてお祀りする東郷神社。
結婚式は是非ここでと熱望されたのは新郎だそうです。
新郎は大学まで陸上短距離の選手で、現在は日本代表選手団のトレーナーとして世界陸上などにも帯同してお仕事をされています。
披露宴では、ご列席のスポーツ関係者やトップアスリートの方々の前途を祝し、夢への力になりたいと、勝利のお守りのサプライズプレゼントも用意されていました。
新郎が立ち上げた会社で共に働き公私に渡り支える友人は、大和撫子という言葉がピッタリの芯が強く控えめで清らかな女性。
緑と光あふれるエントランスに展示されていた彼女の書には、一字一字に静かな想いが込められて、優しさに包み込まれてしまうようなお人柄を彷彿させます。
新郎のサーフボードを書で彩る素敵なウェルカムボード。
お席には、ゲスト一人一人に温かい手書きのメッセージが添えてありました。
明日への希望に満ちたお二人の新たな人生の門出を心から慶び、笑い泣いた春の一日でした。
また、この春は 書を通じてもう一組の素晴らしいご夫婦にめぐり合うことが出来ました。
昨年末に出版された泉とし子さんの句集『フーコー振り子』。
タイトルは、泉さんがお好きで楽しみの場所の一つである、上野の国立科学博物館を詠んだ句からとられたそうです。
3月に第9回海外日系文芸祭賞に入賞されたお祝いにと、ご家族の方より書のご依頼を受けました。
春空(しゅんくう)に のぼる放馬の 土煙り
春を表す明るいピンクにぼかしを施し、華やかな金の砂子が散らしてある色紙をセレクト。
澄み渡った青空のもと、土煙りを上げながら軽やかに駆ける優しい眼をした馬をイメージして書き上げました。
泉さんは1941年生まれで富山県のご出身。
全国紙の新聞記者をされていたご主人様を数年前に亡くされました。
ご主人様は、富山湾で揚がった鰤のお雑煮が大好物だったそうです。
泉さん直筆の句。
鰤雑煮 椀の一つは 大盛りに
「夜討ち朝駆け」と呼ばれるほぼ24時間体制の勤務の夫に仕え、家庭を守り、妻として添い遂げた泉さん。
秋に夫を看取られて詠まれた句。
手帳 ・ 財布 ・ 時計 預かるまゝの冬
神前で、永遠に手を取り共に歩む誓いを立てた若き二人。
夫婦愛を貫いて今、穏やかな心境で俳句に新たな境地を求めエネルギーを注がれている泉とし子さん。
それぞれの人生の節目に感銘を受け、書道教室へ向かう桜並木で見上げた春の空に咲き誇る桜。
この桜を心から美しいと思える今を幸せに思います。
下高井戸にある書道教室