『花に嵐のたとえもあるぞ さよならだけが人生だ』
于武陵(う ぶりょう)の「勧酒」という漢詩を井伏鱒二が和訳した一節です。
どんなに美しく咲いている花でも突然の嵐で散ってしまうこともある。
どんなに親しかった人でもいつか別れる時が来る。
さよならの連続でどうしようもなく儚いものが人生なのだから、今、この時を大切に精一杯前を向いて歩んで行こう。
新聞社で記者をしていた知人が好んで記していた言葉で、彼の知的で繊細な面影と共にこの時期になると思い出されます。
「花」とは、桜。
卒業や入学、就職など人生の岐路を彩る花として日本人の心に深く寄り添う桜の花。
その満開の時期はほんの一瞬です。
テレビでは迫りくる桜前線が繰り返し放送され、今や遅しと待つ桜への思い入れは歳を重ねるごとに深まっているように感じます。
毎年、満開の桜を見ると感動します。
「花」という言葉は桜を指しつつも、その先に美しさやはかなさ、喜びやかなしみといった人の感情をも表しているのではないでしょうか。
大学入学と同時に広島から上京し、ペン習字を学びに書道教室に来てくれたMちゃん。
10級から始めて4年間こつこつ努力を積み重ね、ペン字二段の美しい文字になりました。
「花明り」という春の季語があります。
満開の桜の周辺は夜でも明るく見えるという意味。
いつも元気なMちゃん(写真右)はその言葉がピッタリの、パーッと教室を明るくしてくれるような女の子です。
3月23日が卒業式で4月1日が入社式とのこと、新社会人として新しい一歩を踏み出されます。
環境が変わり、大変なこともあるでしょう。
心より応援していますので頑張って下さいね。
教室の小学校6年生の生徒さん達も来週卒業式を迎えます。
いつも楽しく学校の話をしてくれていた女の子から、「先生、卒業式に来て欲しいです!」と言われ感無量でした。
書道を教えることで絆が深まり、生徒さんから気づかされることも多くあります。
先月は、小学3年生のCちゃんが出品した『明るい選挙啓発書道展』(調布市選挙管理委員会主催)で入賞されたという嬉しいお知らせを受けて調布市文化会館へ。
調布市内在住・在学の小学生が対象で、応募総数約千点の中から入賞は23名という難関の展覧会です。
2学期の終わりから冬休みにかけて大きな紙に一生懸命練習し、頑張って書きあげた「夢へ一票」が輝いて見えました。
この展覧会は2年生で初めて出品してから2度目の挑戦。
昨年の夏は「カトリック競書大会」にも自主的に参加し金賞を受賞、今年の年頭には通われている小学校の近くで開催された即席書初め大会にも参加しました。
ピアノやバレエも習っているそうですが「書道が一番楽しい」と言ってくれて、教室に入ってくる時はいつも弾けるような笑顔です。
担任の先生にも「丁寧な字ですね。」と褒められるとのことでした。
毎月出品している競書誌「書教」でも優秀作品として作品が写真版掲載されることもしばしば。
ご自宅から教室まで電車で乗り換えが必要な距離なのですが、ご家族みなさんで協力して送迎をしていただいています。
ご家族の方々の温かい支えのもと、Cちゃんはぐんぐん成長しています。
教室を通じて一期一会の大切さを実感する日々です。
こうした生徒さん達にパワーをもらい、4月のお手本も1枚1枚心を込めて書きました。
生徒の皆さん、新学期からまた新たな気持ちで書道を頑張りましょうね。
来たる4月4日(土)・5日(日)には、地元の桜まつりで教室展を開催します。
お花見を楽しむために着物を新調する習慣を、「花衣」と呼ぶそうです。
生徒さん達の力作が並ぶ晴れの日は、着物を着てお客様をお迎えしたいと思っています。
下高井戸にある書道教室