2013.03.01
3月1日 世界への架け橋

池袋駅から急ぎ足で外に出ると、小雨まじりの曇り空。

少し残念な気持ちで向かった先は、外国人留学生達に着物の着付け体験をしてもらう賑やかなイベントです。

大学で留学生に日本語を教える非常勤講師をしている友人の呼びかけで、着物を着てみたい留学生が集合しました。

都内の国立大学に1年間の交換留学で来日している19歳~22歳の学生達。

 

 

 

「日本の文化に触れ、思い出に残る楽しい時間を過ごして欲しい」と、たくさんの方々の尽力により定期的に開催されているこのイベント。

一人一人の体形に合う着物や、細々とした和装小物の調達、大学側への交渉、会場の確保、着付けやヘアメイクや撮影等のボランティアスタッフを募ることまで、様々な働きかけをしている友人の心意気には、本当に頭が下がります。

私も何か出来ることはないかなと考え、微力ですがイベントの看板を書き、撮影用の書の提供とメイクを担当させていただいています。

書は、前回「夢」の一文字書、今回は時節柄「梅花開五福」(梅花、五福を開く)の額を展示させていただきました。

20年来の友人のためにと始めましたが、留学生たちが着物を着せてもらって大喜びではしゃいでいる姿を見るとこちらまで嬉しくなり楽しみの一つになっています。

 

 

 

 

昨年に続き二度目の参加になりますが、最初は留学生たちと上手くコミュニケーション出来るかなと不安でした。

しかし、みんなとても流暢な日本語を話されるので伺ってみたら、大学では5つのレベル別の日本語クラスにわかれ、作文、リーディング、リスニング、会話、文法、ビジネス日本語から発音まで、くまなく学んでいるとのこと、感嘆しました。

この日は、アメリカ人、ドイツ人、スウェーデン人、台湾人など国籍も様々な留学生達が雨や寒さもなんのその、初めての着物体験を前にみんなニコニコです。

 

 

 

 

時間をかけて丁寧に着付けをしてもらって美しい着物姿の女性達、和室が一気にパッと華やかに。

 

 

 

 

着付けの先生方に、立ち方、座り方や手の組み方等の所作も習いました。

和服での作法を学ぶことは、日本人の心に触れ、日本人を理解することにも繋がります。

 

 

 

 

プロフェッショナルな撮影をして下さるのは、旅行コラムニスト、イラスト・エッセイストとしてご活躍の森優子さん。

 

 

 

関西弁で盛り上げながらの撮影に、笑い声が絶えません。

 

 

 

 

他にも、いろんな業種の方々が快くボランティアで駆け付けて下さっています。

金色の扇は、優子さんが日本通のインド人のお友達から譲り受けたものだそうで、小道具として大活躍。

 

 

 

身長が180㎝以上ある女性は豪華な大振り袖にゴールドが見事に映えます。

世界中を旅しながらお仕事をされている優子さんは、私の書を見てすぐ「わぁ素敵!何て読むの?どういう意味ですか?」と。

ご説明すると学生たちに向かって、ユーモアたっぷりの即席日本語講座を開始。

 

 

 

「誰か、この漢字読める人いますか~?」との問いかけに、台湾人の男子学生が手を挙げ、一文字づつゆっくり漢字を読むと会場は更に沸きました。

書は、アートとして絵や音楽と同じように感じて心に響くものですが、読んで言葉の意味がわかることによって興味が深まり新たな感動を呼ぶという醍醐味を感じさせていただきました。

この日はあいにくのお天気で外に出ることが出来ず、着物を着ている時間はほんの2時間足らずでしたが留学生は皆大喜び、カメラや携帯で写真の撮影大会がいつまでも続きます。

優子さんは、

「着物の着付けのように、海外において自分の身体に触れてくれた人が不幸になることを人は望まない、身体で感じた温もりと感謝の気持ちは何があっても忘れない」

と話して下さいました。

イベントも終わりに近づき名残惜しむ留学生達を見ているとたくさんの国の中から日本を選び、はるばる日本に来てくれて日本語を学んでくれてありがたい気持ちに。

これから世界に羽ばたいていく次世代を担う若者達。

日本の着物の美しさ、そしてこの日の輝くばかりに美しい着物姿を、祖国や世界中の人々に伝えて欲しいと思います。

この日の体験が日本での素晴らしい思い出として永遠に彼らの記憶に残ることを願ってやみません。

 

 

 

森優子さん公式サイト http://www.mori-yuko.jp/

 

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