世田谷、下高井戸にある天然温泉の銭湯「月見湯」で開催されたライブイベント『音屋の風呂屋~冬編』は、無事終了致しました。
寒い中ご来場いただいた皆さま、遠くから応援して下さった皆さま、誠にありがとうございました。
2012年2月にこちらで初めて開催されたハヴケイスケさんのワンマンライブ「音銭浴」から2年。
じんわり温かい浴室に素晴らしい音楽が響き渡る月見湯ライブは、ご好評をいただいて回を重ねること5回目となりました。
今回も、この空間を豊かで温もりのある書で彩ることが出来るよう、一つ一つの作品に心を込めました。
女湯には、ほんのりと浮かび上がる艶やかな赤にイマジネーションを掻き立てて。
女湯ステージの背景の書は、武者小路実篤の詩より。
この日のアーティストさん達の生き方を体現したような言葉を、秘めた力が湧きあがるような線で書きました。
この道より 我を生かす道なし この道を歩く
壁面には、女湯で歌われたAo-nekoのメンバー山本加津彦さんと松本佳奈さんの歌の歌詞、そして一文字書「感」。
写真ではわかりづらいですが、どの書も、見る方向によって様々な光りを放つ「メタリック書道液」を使用しています。
山本加津彦作詞 「アイのうた」より
時は流れ 夢は流れ いろんな形変わっても
あなたがただここにいれば それだけでいい
あなたがいてそばで笑う それだけでいい
この日の作品はライブ終了後に希望されたお客様にお分けしたのですが、「アイのうた」は学校の先生をしていらっしゃるお客様が「学校に展示して生徒に見せたい」とおっしゃって持ち帰られました。
松本佳奈作詞 「パラダイムシフト」より
行き先があるから ぶつかるのよ
負けてもいい 諦めないで
佳奈さんより、「書って、すごい。文字を見ているだけで、筆を置く瞬間のエネルギーがじわじわと伝わってきます。歌詞に、また新しい命を吹き込んでもらったような気持ちでした。」との嬉しいご感想をいただきました。
そしてゆったり広々とした男湯は、浴槽のあちこちにキャンドルの灯り。
温泉の地熱を感じる床のタイルの上には「響」という一文字書。
「ライブの間、お湯の上に浮かんでいるように見えました」との神秘的なご感想をいただきました。
音楽の力で表情を得た文字は、人の心に溶け込み動いているように見えるのでしょうか。
この書を持ち帰られた北海道出身のカップルのお客様からは、「この字がどうしても欲しかったので」と心の琴線に触れた熱い一言。
壁面は、ハヴケイスケさん作詞「ありふれた言葉」の一節、そして「心」一文字を淡墨で表情豊かに表現。
「心」は、書道教室の生徒さんでご夫婦でみえたTさんがお持ちになりました。
「会場で先生の書を見ていて歌の言葉は流れていき、書き表した言葉が立ち止っている風景がとても不思議な魅力のある空間でした。素敵なひと時を過ごすことが出来、来年もまた書道を頑張りたいという気持ちになりました!」と。
Tさんはしもたかステーション教室開講当初から通われている非常に熱心な生徒さんです。
そして、円人図、戎谷俊太さん作詞「アイノバカ」より。
ボストンのバークリー音楽大学で学ばれた自由な空気感を、筆先踊るように軽やかに表現しました。
ライブのトリを飾られたのは、「音屋」主宰のハヴケイスケさん。
「ライブハウス以外の場所で音楽を楽しめる心地よい空間を」と、書やキャンドルなど五感を刺激するものとのコラボレーションに積極的に取り組んでいるハヴさん。
手書きの湯のれんや湯の書入り巾着袋、サービスドリンクには手書きのお名前入り牛乳など心の伝わるアイテムが生まれ、温かみのあるイベントが実現しました。
2014年4月29日昭和の日、そして12月23日天皇誕生日と、期せずして昭和に関する日に昭和の香りが色濃く残る銭湯で開催された月見湯ライブ。
来年もパワーアップして再演予定です。
これからも素敵な音楽と共に心に伝わる書を体感していただけるように頑張りたいと思います。
どうぞご期待下さい。
《撮影協力:山本加津彦・笹辰則・松本佳奈・阿曽沼夢子》
今年も残すところあと二日となりました。
皆さまにとって本年はどのような一年だったでしょうか。
お世話になった皆さま、書道教室やこのサイトを通じて新たにご縁をいただいた皆さま、大変ありがとうございました。
来年は遥水書道教室開室15周年を迎える記念の年になります。
心新たに書道に精進したいと思っておりますので、来年もまたよろしくお願い申し上げます。
どうぞお健やかに良いお年をお迎え下さい。
下高井戸にある書道教室