師走になったと思ったらあっという間に今年もあと少し。
いつもならクリスマスやお正月を迎える前で華やぐ街も今年はどこか寂しげです。
今週まで頑張ってくれた紅葉
1年を振り返り新年を迎える心の準備もしたいところですが、コロナコロナで制限ばかりの今年。
特筆すべき良いことはほとんどなかったように思います。
しかし平凡な毎日がなんとありがたいことかと思い出させてくれたことは、かけがえのない経験でした。
先日は、お母様が持病でご逝去された友人から「母の残したたくさんの絵手紙を是非見にいらしていただきたい」とお声かけいただきました。
毎日の日記風のものから戦時中の壮絶な体験を表現されたものまで。
人生のあらゆる場面を丁寧に書き留められた作品に深く感動。
友人もまだまだ辛く悲しいばかりだと思いますが、愛おしそうに1枚1枚眺める温かな眼差し。
作品からあふれ出る生命力に、日々を大切に慈しんで生きることを教えてもらいました。
後日、お母様が使用されていた硯や墨、筆、文鎮や年賀状のスタンプに至るまでありがたく拝受。
これから私がしっかりと後進に繋いでゆきます。
その数日後、このような時ですが思い切って渋谷へ。
友人の紹介で、Kanjiイラストレ-ター小野貢さんの個展見学。
人混みは避けているので渋谷に出るのは本当に1年ぶりです。
渋谷駅は2014年から続く再開発で近未来のような空間になっていました。
西口の歩道橋は今年9月に供用開始になったとのこと、上ったはいいもの降りるところがわからず地図を片手に右往左往。
あまりの変わりように、いつでも何度でも来れると思っていたことは実は当たり前ではないのだと鮮明に思い知らされました。
今年はそんなことの数々を見せつけられたような一年でした。
渋谷を代表する桜スポットのさくら坂は、冬の桜にピンクのイルミネーション。
きれいな光、楽しい光は心の中まで明るく照らしてクリスマス気分が高まります。
しかしこの時期の美しいイルミネーションも、見物客で賑わうことが「良くない」と思う日が来るなんて思いもよりませんでした。
個展の会場はさくら坂から細い路地を入ったビルの中の隠れ家のようなバー。
感染対策が万全に施された落ち着いた空間に、真っ直ぐな心を感じる作品が並んでいました。
若いときにしか作ることの出来ない書の世界があります。
小野さんの優しい人柄に触れる言葉や書から未来の希望を感じました。
初めましてでたくさん書のお話をして楽しく乾杯。
周りのお客様もお話し中はずっとマスクで飲むときだけマスクを外し、またすぐ着用を律儀に実行。
政府が呼びかけた「マスク会食」とはこのような状態を言うのだと知りました。
けれどやはりフードメニューは注文する気にはなれず、美味しいお酒を一杯だけいただいて失礼しました。
そんな有り様でも会食やパーティの予定が皆無の今。
人に会ってコミュニケーション出来ることはなんて素晴らしくて尊いことだろうと改めて感じたひとときでした。
こういう時期だからこそ元気を出して、これからも是非色々なことを学ばせていただきたいと思います。
さて勝負の三週間はあっけなく終わりコロナ禍中の年の瀬。
今年の夏に初挑戦した朝顔から可愛い黒い種がいくつも取れて、来年のためにそっと保管しました。
そんな何気ない日常の一コマに心から喜びを感じた1年でした。
皆さん、どうぞ体調に気をつけて温かくしてお過ごし下さい。
下高井戸にある書道教室