今年もあと僅か、皆さま慌ただしい日々をお過ごしのことと思います。
今日はちょっと一息、一足早いお正月気分を楽しんでいただきましょう。
先月末、八王子の中央大学多摩キャンパスで開催された留学生に振袖を着てもらう華やかなイベント。
フランス、イギリス、スイス、スウェーデン、アメリカ、オーストラリア、中国、ベトナム、シンガポール、台湾、韓国からやって来た15名の学生が参加、美しい和服美人に生まれ変わりました。
「日本の文化を理解し、思い出に残る楽しい時間を過ごしてほしい」とこの活動を牽引しているのは、諸大学で日本語を教える非常勤講師の桂千佳子さん。
写真中央、20年来の友人です
彼女の熱い思いに賛同する人が様々な業界から集まり、着付けやヘアメイクのボランティアとして20名以上参加。
笑顔と日本語や英語、中国語などが飛びかう和やかな雰囲気の中、きびきびと仕事を進めます。
私は写真撮影用の書の提供とメイクアップのお手伝い。
大学も、国際センターを軸に父母連絡会事務局や、英語学会(ESS)、写真研究部、英字新聞学会(白門ヘラルド)などの学生さんたちもお手伝いや取材に入られて、大変盛り上がりのあるイベントになりました。
初めての和服に立ち居振る舞いも一苦労。
和装での所作も習い、日本人の心に触れて理解を深めてもらいます。
スラリとしたフランス人学生に用意された濃紺の振袖は、貝桶と橘という伝統的な古典柄。
貝桶とは、美しい絵や装飾が施された蛤(はまぐり)の貝殻を納める入れ物の事で、中世には嫁入り道具の一つであり現代でも雛人形のお道具として飾られています。
蛤は上下の貝殻が同じものでないと合わないために、女性の幸せや夫婦和合の象徴とされているのです。
橘は蜜柑の原種で、寒さに強く良く育つことから奥ゆかしい人を「橘のようだ」となぞられえることもあり、常緑の葉が松などと同様「永遠」をイメージして尊ばれています。
女性のお守りになる木とされていて、花嫁衣装などお祝いの席の着物によく描かれている吉祥性の高い橘模様は純然たる日本発祥の柄。
長い髪を結い上げ、丁寧に着付けていきます。
書は、「和気動(わきうごく)」と書きました。
和やかな気が起こるという意味です。
パリの同時多発テロ事件から約1ヶ月、途切れなく暗いニュースが報道される毎日。
祖国を離れ日本で学ぶ彼女にとっても不安な日々でしょう。
若い留学生の皆さんがどうか平和な世界に飛び立てますようにと祈る気持ちで筆を執りました。
書を書く時はその時の心の状態がそのまま表れます。
二度と同じものは書けない一期一会、文字が読めず意味が分からなくとも絵のように見て何かを感じ取ってもらえたら幸いです。
若さと気品に、たくさんの温かい手が力を添えて鮮やかなショットがいくつも生まれました。
イベントが終了しても名残りを惜しんで、「着物脱ぎたくない、脱ぐのが悲しいです」と続く撮影大会。
夢のようなひとときはあっという間に過ぎて現世に戻ったお姫様たち。
左側の笑顔の女性は、「帰国したら結婚します!」と嬉しそうに話してくれました。
新生活が幸せいっぱいでありますように。
そして学生の皆さん、この日の感動を日本の良き思い出として心に刻み、世界のどこにいても元気で心豊かに生きて行かれますように願ってやみません。
中央大学広報→
これまでの着付け隊活動の様子はコチラ→
2013年度
2014年度
2015年度
下高井戸にある書道教室