2018.10.10
10月10日 秋の上野公園

芸術の秋、食欲の秋、行楽の秋など、秋を表現する言葉は多々ありますが、上野公園はその全てが満喫できる場所と言っても過言でないのではないでしょうか。

9月最後の三連休、大混雑のJR上野駅公園口の改札を抜け、公園に向かう道も人、人、人。

「ここは渋谷か?」と、世界最大級の人が行き交う渋谷スクランブル交差点になぞらえて笑う人の声も聞こえてきました。

しかし耳を澄ますとクラシックの素敵な音色。

 

 

 

 

そして、昨年6月に生まれた赤ちゃんパンダのシャンシャンが抽選や整理券なしで見ることが出来るとの嬉しいお知らせも見つけました。

 

 

 

 

「せっかくなので見て行こうかな!」と期待したのですが、上野動物園は数百人を超える長蛇の列で断念。

 

 

 

 

混雑情報や待ち時間などは上野動物園の公式サイトで随時更新されているようですので、もし行かれる方がいらっしゃいましたらご確認をお勧めします。

さて、上野の第一目的である「第103回書教展」。

 

 

 

 

2階の書教展フロアに入ってすぐ、役員の先生方のスペースの中央には、名誉会長・高木厚人先生の品格のある清々しい作品。

 

 

『風』正岡子規 出典:子規句集

 

ひらひらと 風にながれて 蝶一つ

若鮎の 二手になりて 上りけり

禅寺の 門を出づれば 星月夜

 

9月23日(日)午後に行われた師の根本伸也先生による作品解説も、横浜からお越しいただいた書友のH先生とゆっくり聴講することが出来ました。

「作品を鑑賞するポイントは、まず好きかどうか、作品に向き合った時に何か感じるものがあればそれを大切にして下さい。」など、会場を巡りながら勉強になるお話をたくさん伺い、参加者の方も熱心にメモを取っていらっしゃいました。

 

 

 

 

私の作品は近代詩文書で、伝統を重んじる書教展ではいささか異彩を放っているのですが、ありがたいことに多くの方が立ち止って下さいました。

 

 

『漂泊(さすらい)』伊良子清白 出典:孔雀船(3尺×6尺サイズ)

 

故郷(ふるさと)の谷間の歌は
続きつゝ断えつゝ哀し
大空の返響(こだま)の音(おと)と
地の底のうめきの声と
交りて調は深し

 

作品を広い会場で俯瞰してみると、構成や線質に反省点ばかり目についてしまいます。

根本先生からも心ある叱咤激励をいただきました。

先生のおかげで自由に作品を創らせてもらって感謝ばかりです。

通りかかった方から、「楽しんで書いているわね。」「訴えるものがある。」など私の近代詩文書へ対する思い入れのようなものを評価して下さったのは大きな励みになりました。

試行錯誤を繰り返してヘトヘトになりながらとりあえずの到達点となった未熟な作品ですが、これからの展望を見出せたような気がします。

学生の皆さんも興味を持ち話題にしていただいていました。

自分の書の心が伝わるのは感動です。

 

 

 

 

広島から、学生時代からの友人も見に来てくれて、嬉しい再会となりました。

 

 

 

 

ご実家が元々書道教室で、その場所を引き継いで教室を運営している友人とは不思議な深い繋がりを感じます。

会場を一緒に回る中、「同じ『心』でもいろんな心があるね。」という彼女の楽しいつぶやきに顔を見合わせて笑いました。

 

 

 

 

書道に対する優しいまなざし、学生時代に出逢った時から全く色あせることのない思いやりに触れて、なんだか温かい気持ちになりました。

壁面に踊る元気いっぱいの小学生の作品は大きなエネルギー源。

 

 

 

 

部活や受験などで忙しい中学生も頑張っていました。

 

 

 

 

9月20日(木)~26日(水)の会期中、台風の影響で天候の不安定な中、またお忙しい中、遠路足を運んで下さった皆さま、応援して下さった皆さま大変ありがとうございました。

今年の書教展を糧にしてまた来年も、高みに近づくべく精進したいと思います。

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