快晴のある日の早朝、世田谷を車で出発。
外国人留学生のための日本文化体験活動に参加するため、国道20号から鶴川街道を経て西へ向かいました。
調布市と稲城市を結ぶ「多摩川原橋」の中程に差し掛かると、真っ白な雪を頂いた富士山がはっきり見え、同乗者4名は大歓声。
ちょっとした小旅行の気分です。
大学で非常勤講師をしている友人が3年前から都内各地で開催している着付けイベント。
この日は、町田市にある自然豊かで広大なO大学で行われました。
日本の伝統技術によって作られた民族衣装『着物』の着付け体験を通して、着物の歴史や文化、生活の中から生まれたマナーなど学ぶ体験型の授業です。
授業の3限から4限にかけ、茶道部で使用されているという風雅な茶室にて、アメリカ、中国、モンゴルなどの14名の留学生が和風の着物美人に生まれ変わりました。
私は、書の展示とメイクのお手伝いで参加。
留学生たちの明るい未来を願い、「希望」と書きました。
様々な業種の方がスタッフとして参加し、回を追うごとに新しい顔ぶれも。
着付けやヘアセット、メイクの間も、体温を感じる触れ合いの中で生きたコミュニケーションが広がります。
このイベントに携わっているうちに、仲間も増え、着物に対してもより多くの魅力を感じるようになりました。
今年10月には、初回からご一緒している草花アート作家、亀井きよみさんの素敵な個展へもイベント仲間で鑑賞。
野に生える草花に光を当て、命を吹き込んで作品にされるきよみさんの温かい心は、学生たちに向けて語られる優しい言葉となりいつも場を明るく和ませてくれています。
撮影カメラマンは、世界40か国以上を旅して仕事をされている、旅行コラムニスト/イラスト・エッセイストの森優子さん(写真右)。
いつも、楽しい雰囲気で留学生たちの緊張感をやわらげ、素敵な写真をたくさん撮影して下さってみんな大喜び。
色鮮やかな紫に大きな花が映えるこの着物(下の写真)はアンティークの花嫁衣裳だそうです。
柄ゆきも豪華で、裾には綿が入りふっくらとしていました。
着物での所作や 立ち居振る舞いも学び座った姿も雅びに。
勢揃いした学生たちの眩しい笑顔を見ると幸せな気持ちになります。
熱い意欲でイベントを支えるスタッフ達がこの笑顔を見ることを何よりも大切にして仕事をしているからこそ味わえる至福の時間。
若い留学生の皆さん。
東洋の果ての小さな国、四季があり、難しい日本語で話す国、この日本を選んで留学してきてくれてありがとうございます。
地震も心配だったことでしょう。
1年間しっかりと学んで楽しんで、美しい着物に袖を通した日のことも忘れないで故国に帰ったらみんなに写真を見せてあげて下さいね。
前述の森優子さんは、「希望」の書について、「いま全人類にとっていちばん重要なこと、それを集約した二文字かもしれないなあ。」とおっしゃいました。
未来を信じて希望を胸に世界へ羽ばたいていかれますように、心より祈っています。
下高井戸にある書道教室