来月、9月20日(水)~26日(火)に上野の東京都美術館で開催される『第102回書教展』。
師に指導を仰ぎながら数ヶ月、試行錯誤を重ねた作品に丁寧に捺印しました。
書道の作品は、書き終えると署名し、印を入れて晴れて完成となります。
これを『落款(らっかん)』といいます。『落成款識(らくせいかんし)』の略語です。
落款で作品の印象も変わるので、作品に応じて合う印を作る先生もいらっしゃるほど重要なもの。
印の色もみんな同じではなく、朱色っぽい赤や鮮やかな真紅、暗い赤などさまざまです。
今回は、色画仙紙(いろがせんし)に良く合う、深く重みのある『古色』と呼ばれる赤茶色にしようと考えていました。
ところが、印泥(書道用の朱肉)を取り出してみると夏場のためか油分が浮き上がりベタベタな状態。
慌てていつもお世話になっている三鷹の『山口文林堂』さんに駆け込むと、『中国製なのでどうしても品質にばらつきがあるんですよ。乾燥したよもぎをお分けしますので少しずつ加えてひたすら混ぜて下さい。』とアドバイスをいただきました。
言われた通りに、印泥の原料の植物繊維を細かく切って混ぜながら練るうちに程よい固さになり、事なきを得ました。
落款をはじめ作品制作では『文房四宝』と呼ばれる書道の道具、筆、墨、硯、紙の一つ一つがとても大切なもので、どれも作品の表情を創る大きな役割を担っています。
今回も山口さんにはたくさんの知恵を授けていただき、大変お世話になりました。心より感謝しています。
皆さま、来月の書教展には、お時間が合いましたら是非お運び下さい。
さて、書道教室の子供達も楽しい夏休み本番。
夏休み中のレッスンでは、季節感いっぱいのオリジナル筆文字コースターを創りました。
一部をご紹介しましょう。
スイミングスクールで泳ぐのが大好きなTくんは、涼しげな水滴のような模様に力強く『水泳』。
6年生のCちゃんは字典とにらめっこ、面白い古代文字に挑戦しました。
カラー筆ペンで彩色したりスタンプを押したり、自由な発想で筆遊び。
『海』『楽』と夏休みらしい字を並べたMちゃんは、「毎年夏休みはおじいちゃんと下田の海に行くのが楽しみ。おじいちゃんが百歳になるまで連れて行ってほしいからこれはおじいちゃんにプレゼントする!」とニコニコでした。
書道教室のお迎えにもよくいらっしゃる優しそうなおじいちゃま、さぞ喜ばれることでしょう。
まだ毛筆を始めていない小さな子供達も頑張って、思い出に残る作品になりました。
「素敵なものを作らせていただき、学校に提出すると喜んでおりました。」と、メールを下さった親御さんもいらっしゃいました。
みんな楽しい夏休みになりますように。
私もこの夏、色々な巡り合わせが重なり、初めて水墨画を体験させていただきました。
このお話はまたいつか書きたいと思います。
皆さんもこれからお盆休みでお出かけされる方、ご家族やご友人との集まりのある方も多くいらっしゃることと思います。
まだまだ暑くなりそうなので熱中症には十分に気を付けて、楽しい夏をお過ごし下さい。
下高井戸にある書道教室