昨日の午後6時過ぎ、銀座4丁目にて。
夜のショッピングや食事を楽しむ人も加わり混み合う歩道に、華やかな七夕飾り。
先日は、ビジネス街の神田小川町でも笹の葉が街を彩っていました。
七夕飾りを見かけると、自然と子供の頃を思い出して懐かしい気持ちになりますね。
小さい頃、童謡「たなばたさま」を、“ささの葉 さらさら のきばにゆれる“と、意味もわからず口ずさんでいました。
「のきば」は漢字で書くと「軒端」。
昔は平屋で一軒家が多かった日本家屋で、屋根が建物からはみ出している部分が「軒」、「軒端」はその下の部分のことでした。
家の軒先で七夕飾りが揺れていた光景は、オフィスビルのエントランスへとところ変わりましたが、足早に歩く人たちのひとときの心の癒しになっているのではないでしょうか。
今週は、書道教室でも一足早く短冊に願い事を書きました。
七夕の風習で、サトイモの葉にたまった朝露を集めてそれを磨った墨で短冊に詩歌を書くと字が上達するという言い伝えがあります。
朝露を集めることは残念ながら無理でしたが、小さな子供達も特別に心を込めて墨を磨りました。
色とりどりの短冊からお気に入りを選ぶのも楽しいひととき。
皆さんご存知の通り七夕は、織姫と彦星が天の川を越えて年に一度だけ逢うことの出来る日。
機織が得意だった織姫の伝説が由来となり、江戸時代にお裁縫や書道の上達の願い事を書く風習が始まり、時代が変わるにつれさまざまなおけいこごとの上達を願うものになっていきました。
小学1年生Yちゃんの、思わず笑顔になるような短冊。
願い事が叶うという短冊を前に、みんな小さな手で筆を持ち真剣に。
純真な想いが伝わる願い事の数々に、心が洗われる思いです。
毎年同じ願い事を書く、意志の強い子もいます。
今年の夏休みを楽しく過ごしたいと願う、微笑ましい子も。
小学校高学年から中学生になると、願い事は現実的な目標になっていきます。
今年もそれぞれの願いや夢の詰まった短冊がたくさん生まれました。
子どもから大人まで、美しい短冊を手に取り笑顔があふれた七夕短冊教室。
最後に、中学3年生Kちゃんが真摯に書いた深い願いを目にして胸が熱くなりました。
古来より日本には『言霊(ことだま)』という言葉があります。
言葉には、発した言葉通りの結果をあらわす不思議な力がある、つまり言葉に魂が宿るということです。
一ふで一ふで願いを込めて書いた言葉の力と文字の力。
きっと言葉が心に入り込み、素晴らしい結果を見せてくれることでしょう。
来週の金曜日は七夕。
皆さんも星を見上げてみませんか?
そして年に一度の願いを書いてみてはいかがでしょうか?
今月も、所用のため駆け足で帰省しました。
父を見送り、一人暮らしを始めて半年が過ぎた母。
手入れの行き届いた花壇を目にしてホッとします。
久しぶりに母校を訪ねました。
私が卒業した小学校は、当時、児童数1,900名を超える山口県内屈指のマンモス校で、1学年8クラスありました。
今年で創立144年目を迎えるとのこと。
米軍基地を保有する街の小学校。
薪を背負い歩きながら勉強する、懐かしい二宮金次郎の像がそのまま残っていました。
登下校で毎日眺めた金次郎。
勤勉・勤労の鑑として幼心に尊敬する気持ちが沁み込んで行ったのでしょう。
しかし、現在は徐々に姿を減らしているそうです。
学校の建て替えや、時代にそぐわないなど様々な理由があるようですが、中には「歩きスマホを誘発するから」というものもあり、考えさせられてしまいます。
金次郎のように苦難を乗り越え道を作った先人を、どうにか次の世代に語り継ぎたいものですね。
私が感銘を受けた二宮金次郎の言葉があります。
すべての商売は、売りて喜び、買いて喜ぶようにすべし
売りて喜び買いて喜ばざるは 道にあらず
これは商売に限らずどんな仕事にも通じる考え方ではないでしょうか。
私も仕事に際し、地域の一員としても皆さんに喜んでいただけるように、奥深く、楽しい書道を伝えられたらと願っています。
書道教室のある世田谷下高井戸の松沢小学校も今年創立130周年、活気ある商店街の真ん中に位置する明るい小学校。
昭和の香りの残る、人情味あふれる商店街に支えられて歴史と伝統を紡ぐ学校で、18年前の教室開室当初からここに通うたくさんの子供達と触れ合ってきました。
その笑顔に会えるだけで本当に嬉しく、心豊かに過ごしています。
先日は、同じ世田谷区内で書道教室をされている原田先生からお声掛けいただき、世田谷区立桜上水南地区会館へ指導のお手伝いに伺いました。
こうした横のつながりで輪が広がるのは意義深いことで、とてもありがたく思います。
先生はご自身の教室とは別に、文化庁主催の伝統文化親子教室事業の一環として近隣の小学校を周り、1,2年生を対象に1年間、教室を開催するという尊い活動をされています。
始められてから10年続けていらっしゃるとのこと。
まだ学校で習字の始まっていない子供達のために書道道具も全て貸し出し、きめ細かい年間カリキュラムも組んでおられて感服しました。
習字を始めた幼児から低学年の世代は、吸収が早く最も大切な時期。
初めて筆を持つ子にとっては未知の事ばかりで、失敗や上手く出来ないこともたくさんです。
大人になってもそうですが、書道は上手く書けない自分に対峙することの繰り返し。
思うように書けず、書いても書いても結果が出ない、泣きながら書く子に向き合うこともあります。
困難に負けず、投げ出さず、正面から取り組む精神力が大切。
成功する体験が、自信につながります。
これは、書道以外の事でもきっと何かに役立つことと、書を通じて心の育成にも力を尽くしています。
日々成長する可愛い子供達。
今日も、生徒さんのお顔を思い浮かべながら1枚1枚心を込めてお手本を書きました。
次のレッスンでは、七夕の短冊願い事も書いてもらいます。
小さな子たちは初めて墨を磨って書くことを楽しみにしています。
私もみんなに会うのを楽しみに、無心になって書くことの素晴らしさをこれからも伝えていきたいと思います。
東京は梅雨入りしたというのに暑い日が続いています。
皆さん、体調など崩されていませんか。
軽くエアコンを効かせた教室では、子供達も真夏モードです。
広島市内にお住まいのYさんからのメール。
『我が家のお田植えが無事に終わって一安心しました。』
Yさんのメールにはいつも素敵な写真と楽しいメッセージが添えられています。
今月の2年生のお手本も、季節を感じられる『田』という漢字でした。
『田』は、四角に区切った田んぼの形から出来ていて1年生で習いますが、簡単なようで意外と難しい字。
毛筆を始めたばかりのNちゃん、美しい田園風景を想像させるようなゆったり伸びやかな筆運びです。
Yさんいわく『前田さんのブログで全く知らない世界を体験させていただきました。』とのこと。
『お習字のセットもカラフルになっているんですね~。』
それぞれの個性のあふれた書道バック。
デザインも素敵ですが、老舗の書道用具メーカー「呉竹」さんや「あかしや」さんなどが販売元で中のお道具の品質も良いのです。
「 呉竹」さんは奈良の墨メーカー、「あかしや」さんは奈良の筆メーカー。
そしてこんな励みになるお言葉も。
『着物と靖国神社で、へえ~って感じで驚きました。ちょうど広島市内は、「ゆかたできん祭」(昔のとうかさん)で、見方も変わります。目も耳も大きく開いて広い世界を見なくちゃいけないですね。』
出典: Creemaハンドメイドマーケットプレイス
私はブログを書くにあたって、読んだ方が何か一つでも「為になったな」と思っていただけたらと心掛けているので、とても嬉しいこと。
こちらこそ元気をいただいています。
広島の護国神社の境内で撮影されたという、山本五十六の言葉。
他にも心を豊かにしてくれる言葉の写真の数々。
一枚一枚に想いがこもり、Yさんのコメントから気持ちが伝わります。
この山本五十六の言葉は、ものを教える立場の人には大切な教訓ですね。
筆を持つときの気構え、運筆を雑にせず気持ちを行き届かせること、用具を大切にすることなど、書道を通じて行う心がけが子供達の日常に表れるのだと思います。
レッスンが終わり、何も言わなくても協力して片づけをしてくれる子供達。
筆に集中した後は、心もスッキリして表情も晴れやか、行動も凛とします。
その繰り返しで自ずと書道も上達。
学校や学年を超えた優しい絆も生まれます。
日常に追われてバタバタな毎日が続いていきますが、書道を通じていただくひとことのメールや写真で感じる確かな喜びに感謝しながら、明日からも頑張ろうと思います。
下高井戸にある書道教室