2025.10.30
10月30日 昭和100年に世田谷線も100周年

朝晩は冬並みの寒さになりましたね。

 

生徒さんも冬服に

 

インフルエンザが流行っているようなので皆様どうぞ気をつけてお過ごしください。

 

そんな中いつものどかにトコトコ走る世田谷線。

 

 

しもたかステーション教室のすぐそばです

 

2両編成で、下高井戸から終点の三軒茶屋まで乗っても18分間というローカルな路面電車ですが、地元の人たちの大切な足でありとても愛されています。

特にめったに出逢えない『幸福の招き猫電車』は大人気で、遭遇すると本当に幸せな気持ちに。

 

 

こちらは1時間に1本程度の運行

 

生徒さんがふるさと折り句に書き、コンテスト入賞したことも。

 

 

 

 

小学2年生から中学生まで通われた男子生徒の親御さんが中学卒業の頃にこんなメッセージを下さったこともあります。

「Kがまだ小さい時、(書道教室に向かうために)世田谷線に乗って笑顔で手を振る姿を思い出すと涙が出ます…」

私もその光景が思い浮かび涙。

そんな、地域の人たちの心を映す世田谷線の味わい深い歴史を、ゆかりのある文学と共に辿る展覧会が世田谷文学館で開かれています。

 

 

世田谷区南烏山(京王線芦花公園駅から約5分)

 

開通以来100年間に沿線に住んだ作家や、沿線地域が舞台となった作品やエピソードが駅ごとに紹介されているなんとも素敵な展覧会。

 

 

世田谷文学館開館30周年 コレクション展 世田谷線100年間のものがたり

 

1960年代の東急電鉄の制服を着た車掌さんがお迎えしてくれました。

 

 

会場内の撮影はここまで

 

展示の最初は下高井戸駅から。

以前ブログで、竹久夢二が下高井戸駅前で「お嬢さんモデルになってください」と声掛けをしていたと書いたことがありますが、夢二も世田谷線松原駅近くに居を構えていた時代がありました。

世田谷線が下高井戸まで開通した大正14年(1925年)5月1日、家から眺めている様子を歌集「出帆」に綴り、挿絵にも表現。

 

『みんな来てごらん、新しい電車が走るよ。…やがて、木立の間から丘の下の青麦畑の中を、盛装した電車が晴れがましくゆっくりと走ってきた。『万歳!』何がなし三太郎(夢二)も子供たちの声に合わせて、そう叫びたい気持ちだった。』

 

「盛装した電車」とは、車体がたくさんのお花で飾られていたのでしょうか。

情景がリアルに描写された明るい文章に夢二の高揚感がグッと伝わってきます。

 

そしてなんと、故郷山口が生んだ偉大な詩人、中原中也も下高井戸に暮らした時期があったとのこと。

 

『私は下高井戸駅---玉川電車(現在の世田谷線)の終点で車を棄てた。良いお天気で、幅二間程の、下高井戸駅通りは秋の日をうけて黄色く乾いている。商店の赤字に白く染め抜いた幟は影を落としている。』

生前未発表の原稿「その一週間」より 1932年頃

 

 

秋の日をうける現在の商店街

 

その他にも、林芙美子や壺井栄、現代では片岡義男や向田邦子、若い川上美映子まで数々の優れた作家たちの手で紡がれた沿線ストーリーや直筆の原稿、当時の写真など見応えたっぷりで引き込まれました。

展覧会は来年3月31日まで開催されているのでまた何度と足を運びたいと思っています。

お近くの皆さん、秋の芸術散歩に是非いかがでしょうか。

 

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